2013年7月26日金曜日

「返し」その意味と深み


私は、エサレンのアプローチを実践するにあたって、触れ手の身体感覚として、
もっとも重要なことは「寄りかかり」である、と考えるようになりました。

実際、私の実践の中で、それは、エサレンで始めてのトレーニングを受けた
1990年2月の時点ですでに自分の感覚として、
重要なものと認識していましたが、
つい最近まで、十分な「圧」を受け手に感じてもらうためにはそれが重要、
という認識でした。
しかし、先日の2泊3日リトリートを通じてその認識は、完璧に覆されました。

「圧」の問題ではない、このアプローチのもっとも根本的な質の問題だ。

と気づいたのです。この間、実に23年かかったという訳ですが、
このことを皆さんにシェアできることを喜びに感じます。

どうも一番重要と思われることを言語化できていないような気がするー
と長年のもどかしさから解放されてほんと、すっきりしました。
もっとすっきりするために、今この原稿を書いているというわけですが、、


「寄りかかり」、それは、言葉を変えていえば、
触れ手が自らの固有感覚(深部感覚、内側の感覚)を
十全に使って、受け手に触れる、ということなのですね。
その触れ手の「寄りかかり」に対して、受け手のからだは、「返し」として反応します。
私は、クラスの中では「返し」とか「戻り」などと、言っていますが。

受け手のからだに「返し」が起こるとき、受け手の固有感覚のとびらが開かれるのです。
それは、それまで、皮膚の外側に向けられていた意識が、皮膚の内側に向けられる瞬間と言ってよいでしょう。
普通、「意識を内側に向ける」ということは、ヨガや、他の身体メソッド、例えば、
アレクサンダーテクニークなどを通じては、
ある意味、鍛錬として意識的に行っていくものだと思うのですが、
心で触れるボディワークのセッションでは、それがごく自然に、
受け手の100パーセントの<受け身>と<受容>の中で起こるのです。
そして、それが、このアプローチの心地よさの核なのですね。

「心で触れる」の「心で」とはそういう意味なのです。

よく、「 心に 触れるボディワーク」という言葉に引かれました。

と言われることもあるのですが、
固有感覚を使う、という意味で、「心で」なんですね。
「心に」触れようとするわけではないのです。

あくまでも「からだ」に触れて、そのタッチにより
自然な形で、受け手の固有感覚を目覚めさせていくと
いうことが、エサレンアプローチの醍醐味なのだという認識で
私は、この23年間、実践を重ねてきましたが、
そのことと、「寄りかかり」は、つながったひとつのことだったのです。
これで、すべてのことが言語化できる気がします。


「寄りかかり」については、これまでのメルマガでも
何度も話題にしてきましたし、動画もみなさんに見てもらっていますね。

ここで、再度なぜ「寄りかかり」が重要かということを確認したいと思います。

この受け手のからだの「返し」を生みだすために「寄りかかる」のであって、
十分な「圧」を受け手のからだに与えるために重要なのではないのですね。
もちろん、十分な寄りかかりは、十分な圧を生み出しますが、それだけが
目的ではありません。

そういうふうに捉えてみると、「寄りかかり」には、場所と方向が
重要で、どこでもどの方向にでも触れ手が寄りかかりさえすればよいものでない、
ということになります。受け手にとってより自然な本来の「返し」が生じる
場所、方向に寄りかかっていく必要があります。

そこが初心者にとっては難しいところです。
私のDVDでは、そういうポイントをひとつひとつ詳しく解説していますから、
お持ちの方は、そういう視点でもう一度みていただけたら
うれしいです。

受講生の多くは、まず、「寄りかかり」の身体感覚を掴むのに苦労するようです。
なので、まず寄りかかることに必死になってしまうので、そのあとの
受け手の「返し」に添って、自身のからだをなめらかに引く動きに
気が回らないということになってしまうようです。ですが、この「返し」に
寄り添うために、「寄りかかる」のですから、ぜひともここは
忍耐強く自分のからだとつきあって、鍛錬してほしいところです。
おそらく、ここがもっとも練習の時間が必要なところになると思うのです。

これが自然にできるように鍛錬がすすむと、つなぎのストロークというものは
自然にその方向が定まります。初心者がよく、つなぎ方が分からないと言うのは
まさにこの「返し」を見ていない、触れていないからだと思いました。

受け手の「返し」に注目し、丁寧にそれに添っていくと、
その動きそのものが次の場所、次の方向へと触れ手を導いてくれるのです。
だから、ストロークはあれこれ考えなくても自然につながるのですが、
最初は、ティーチャーの動きをまねて、つなぎ方もまねていくしかありません。
その段階では、触れ手の動きはぎこちないものでしょうが、練習を積んで
そこから滑らかな動きへと自身のからだを調整していく、
まあ、自ずと足腰の筋力を養う事にはなるでしょう。
また、寄りかかりとは、グラウンディングとセンタリングしながら
触れていく事を短く端的に表現した言葉でもあります。

このからだの使い方を探求し、なめらかに自分のからだを動かして、触れていく
ことを練習するのは、忍耐をともなう作業ですが、トレーニングの最中の
当時の私にとっては楽しいものでもあり、熱中できることでもありました。

受講生をみているとやはり、クラスでの交換セッションは時間を意識しないほど
集中しており、興味をもって自分自身のからだの使い方に取り組んでいるようです。
この質のことには、何か人を熱中させるものが潜んでいるのでしょう。

私は、受講生にこんなふうに言う事があります。
「そこさぁ、<返し>があるでしょ、それをみて、それに添ってみて、、、」
「そこそこ、そこ、<返し>でしょ、もっとゆっくり手を離していかないと、、、」

受け手は、「返し」すなわち自身のからだの自然な微妙な動きに、
触れ手がけっしてじゃませず、尚かつ尊重して、
寄りかかりから継続して触れることで、
いままで無意識のうちに処理されていた自分自身のからだの内側の感覚を
新たに感じ、気づき、自らを解放するのです。
それは、からだの解放であり、感情の解放であり、エネルギーの解放であり、

それこそが、心で触れるボディワークがもたらすリラクセーションなのです。

鎌田麻莉の
心で触れるボディワークDVDセット
<エサレンアプローチを詳しく解説、実技も満載>

2013年7月14日日曜日

アロマトリートメントのアプローチについて

オイルを使ったマッサージのスタイルというものは、
ここ10年くらいの間にアロマセラピーのトリートメントとして
だいぶ一般化されましたね。

私が、ニューヨークから帰国した1992年の段階では、
まだまだオイルを使った「マッサージ」はめずらしくて
おそらく、エステティックの分野で痩身の手法などとして
実践されていたかもしれませんが、
リラクセーションのための、しかも全身オイルトリートメント
となると一般にはなかった、と言っても
そう間違いはないと思います。

そういうときに、まあ、アメリカ帰りで
しかも花巻という地方の田舎で
しかも、エサレン研究所というアメリカ国内でさえも
あんまり一般的とはいえない特殊なところで
トレーニングを受けた人間が、

これは、ボディワークじゃー!!! 気付きじゃー!!!

と声を大にしてなんとか自分の実践の場を作っていこうと
していたわけであります。

1999年に私が東京に活動拠点を置いた時点でも
まだアロマセラピーは、普及していなかったと思います。
ちょうど普及の端緒についた、というような時期でした。

現在は、アロマセラピーという言葉自体は、
たいへん広まりましたし、勉強する人も増えて
教材も商材もいろいろと手に入りやすくなりましたが、
かといって、花巻のような地方では、
アロマトリートメントを受けたことがある人が
そこここにいるかというと、受けたことがない、
という人のほうが多いですし、ましてや全身、となると
抵抗感(洋服を脱ぐことに)がある人も多い。

しかし、一方、心身のバランスを崩したときに
アロマセラピーに助けられた、というようなお話を
聞くこともあります。
そういう体験から、アロマを勉強しだした方も多いのかな、
という印象です。

アロマセラピーは、エッセンシャルオイルを用いるという観点から
みると扱う範囲が広い感じもしますが、アロマセラピストとして
活動をする場合には、やはり「オイルトリートメント」が中心に
なっているようです。
私の「心で触れるボディワークDVDセット」もアロマセラピーを
学んでいる方に多くご購入いただいていると思います。

2004年ー2008年にかけて
新宿御苑のロハスムーンというところで
スキルアップ講座という3日間の、すでに全身オイルトリートメントを
実践している方のための講座を定番で開いていました。
そこには、東京に限らず全国からアロマセラピストの方たちが
いらしてくださいました。私は、アロマセラピーを本格的に
学んだことはありませんが、そこで受講生のみなさんから
アロマトリートメントの手法を実際にみたり聞いたりしたという経緯があります。

そういう体験から、アロマトリートメントの手法と
心で触れるボディワーク(エサレンボディワーク)の手法では、
同じ全身オイルトリートメントといっても意図が全然違うものだなーと
感じていましたし、それゆえに
一つのセッションに同時に両方の手法が両立するかというと
厳密にいうと難しいと感じていました。で、結局、それもあって
アロマセラピストの方々向けのスキルアップ講座はやめてしまいました。

そしてまた、今回2泊3日のリトリートを通して、
やはり再び、同じ問いに出会うことになりました。
現在DVDセットを販売しているにあたって
ご購入いただいている方には、アロマトリートメントを勉強
されている方も多いと思います。もう一度きちんと方針というか
考え方を整理しておこうと思いました。

私は、アロマトリートメントを身につけた方が私のクラスに
いらしてくださったときに、その方がアロマで身に付けた手法に対して
そうではなくこう、とか、それは違っているからこう、とか
言いたくないなーと思います。
アロマのコンセプトというものに基づいて
そういう手技になっている訳ですから。

ご本人が、心で触れるボディワークという全く違う手法を身につけようと
考えていらしてくださっている場合にはまだいいとして、
アロマの手法を少し深めよう、という思いでいらしてくださっている場合には
躊躇があります。

がしかし、現実問題として、
基本的なストロークのしかたそのもの、根本のからだの使い方を
直していかざるを得ないところに直面します。
そういう取り組みをしないと、心で触れるボディワークの「質」が
実現しないんですね。

アロマトリートメントのアプローチを目にするとき
私が思わず言ってしまうことは、

「それって、腰痛くならない?」

ということです。実は先日、2泊3日リトリートにアロマセラピストの方が
いらしてくださったので、普段行っているトリートメントの方法を
見せていただきました。スキルアップ講座を行っているときも
そうでしたが、やはり同じことを思ったのです。
そして実際にそれを問うとほとんどの人が

「痛いです。」というんですね。

私は、長年の施術の経験から、
アロマのアプロローチを真似ることができると自負していますが、
(と思ってるだけですが)
もし真似るとおそらく30分も持たずに
腰が痛くなってしまうだろうなーとも思っています。

2泊3日リトリートにいらしてくださった方も腰が痛くなると
おっしゃっていました。

アロマトリートメントの基本的な手技とされるエフルラージュは
どうしても腰に負担のかかってしまうからだの使い方なのだと思います。
なので、一日に何本も施術をこなすようなサロンで何年も働いてる
アロマセラピストさんは、強靭な肉体の持ち主であろうと思われます。
きっと肉体的強靭さだけではなくて
精神的忍耐強さも並大抵のレベルではないはずです。

実際には、からだがもたなくてやめられる方も多いのではないでしょうか。

これは大変もったいないことだと思います。
アロマを勉強される方は、熱心で志の高い方が多いので
是非、続けていただきたいし、施術は年月を重ねれば重ねるほど
巧みになっていくものですから、長年実践を継続できる、
そういうやり方を模索して定着させることも業界のレベルを
あげていくことにつながるのだと思いますし、
必要な取り組みだと思います。

これは教える立場にある方の課題となるのでは、とも思います。
学ぶ人が、からだを痛めることなく実践を続けていけるような
施術スタイルを研究し、受け手も触れ手も日本人向けのものとして
技術と心を再構築し開発し、
それを教える段階に来ているのではないでしょうか。

もうひとつ、アロマトリートメントのアプローチにおいて
私が思うのは、全身のトリートメントにはその手法は
向かないのでは、ということです。
前述したように特に腰に負担がかかる手法であることと、
全身をつなぐストロークがその手法に存在しないということ
があげられると思います。

ただ、30ー40分までの部分を区切った施術には
よいのではと思います。背中だけ、とか
脚部だけ、とか、デコルテだけとかですね。
また、基本的には香りも含めた有効成分を肌に浸透させるための
手技であるわけなので、技術的には、
特に「寄りかかり」は必要ないかもしれません。

私は、以前から、部分を順番に行っていけば
それが全身になるかというとそうではない、と主張してきました。
やはり、全身トリートメントというときには
全身をひとつとしてアプローチする手法があって始めて
全身、といえると思うのです。

そういう意味では、心で触れるボディワークは、
最初から全身トリートメントとして構築されたものであって、
全身トリートメントとして行うときにその真価があるので、
私は、サロンのメニューに細かく時間や部分を区切った
ものをおかないようにしています。
それはこの20年、一貫してそうなのです。

いずれ、これは、2泊3日のリトリートを通して考えたことですが、
どんなに心地の良いトリートメントだとしても、
それを行う側が、すなわち触れ手が、それを行うことで
からだを痛め、疲弊していくような形ではいかんのではないかと。

心で触れるボディワークは違います。(実はこれが言いたかった?!)
触れ手は、実践を重ねれば重ねるほど、からだを育てることができるのです。
そして、そのからだの叡智が、タッチを通して受け手にフィードバックされる
そういうあり方であるから、ボディワークという言葉を使う。
こうしたトリートメントのコンセプトとそして
確固とした手法があるのだということを知ってもらえたらと思います。

是非、多くの人に諦めずに全身オイルトリートメントに
取り組んでいただきたいし、取り組むことで自然に
自身のからだ育て心育てをしてもらえたらと願うのです。