「和のカラダ」のはじまり#2 4万年来の危機ではないか、と危惧する
和のカラダレッスンを進めていくに従って、このカラダの使い方、バランスの取り方は、私が、生まれた時からタカダカ数十年、考えて行ったり、誰かに意図的に指導されたりして、身につけたことではないよなーって感じが、ますます強くなっています。
いずれ、私の場合、最初は、エサレンボディワークというアメリカで生まれたリラクゼーショントリートメント、ボデイマッサージのスタイルを、自分が日本で実践して”生きたい”ということでした。平たく言うとそれで食べていきたいんですけど、ってこと。それでおまんま食べられたら幸せである、という気持ちです。
自分のカラダを触れることのために使うこと、非侵襲的に触れる、ということ、自由にダンスをするように。そして、心から誰かに喜んでもらえること。そうやって生きていけるのなら幸せだなーと思い、そして、それを糧に生きることで何かから自身が解放されたいと願い、誰かも解放されることを願ったのです。
どのように触れるのか、どのように触れたらいいのかは、当時から、そして32年後の今でも私の内側からやってくると感じます。私のカラダがこの世に存在するはるか以前、太古の昔からそのプログラムはセットされていたように感じるのです。当時、エサレン研究所という時空が、その発動を許してくれ同時に発動の仕方を示してくれたのかもしれないと思います。その出会いのために私はアメリカに渡ったようにさえ思えます。
エサレン研究所でのトレーニングを終えてみると、それを実践するのなら、それは日本という場でなければならないと強く思いました。日本に居場所を見つけられずアメリカの地へと旅立った家出娘は、5年の月日ののちにある志を持って生まれ故郷に戻ってきたというわけです。
1990年代初頭、日本では、リラクゼーションのためのオイルトリートメントは、一般的には行われていなかったと思いますが、その後、アロマセラピーとともに徐々に浸透していったように思います。そしてまた、エサレン研究所のある種の名声が助けとなって、私のエサレンボディワークの施術の仕事は、ゆっくりとではありますが持続的に成り立っていきました。
1998年から2007年にかけて、ディーン・マースン、ブリィータ・オストロム、パブロ・ピエーカー、シャー・ピアス、エド・モーピン、、、、エサレン研究所で教えるアメリカ人講師を幾人も日本に招きました。それらの講座で学んだ人たちは、300人を超えるくらいにはなるかと思います。また、そこでの出会いがきっかけとなってエサレン研究所に直接学びにいった方もおられます。加えて、独自にエサレンスタイルを伝える活動を行う方々も複数出ています。
私が、自分で教えるということを決断して最初の2泊3日のエサレンアプローチのオイルトリートメントの講座を岩手県の自宅で開いたのは、2007年の初冬のことでした。それから、着衣の施術方法を検討して、その方法をもとに 社)ゆったりセラピー協会を開いたのは、2013年のやはり初冬です。
アメリカ人講師の通訳やアシスタント、および講座のオーガナイサーとして9年、自身で施術を教え始めて今までで15年、合わせて24年経ちます。この24年の月日が、私に何をもたらしたのかというと、それが「和のカラダ」という認識です。
今年、2022年が私にとって、「和のカラダ」元年と言いますか、「和のカラダ」という捉え方が、とても大切なことだとより深く理解してきちんと伝えていこうと決意したのです。今までも「和のカラダ」という言い方は使っていましたが、その重要性に改めて目覚めている最中です。
そして、それが”和のカラダレッスン”です。
その重要性にどのように気づいているかというと、今のままでは、我々の祖先が営々と非言語的に伝え築きつないできた「和のカラダ」が失われてしまう、という危惧です。そしてそれは、4万年来の人類の危機ではないかとすら考えられるのです。
なぜ、4万年来?てことなんですが、戦後すぐ、相沢忠洋さんという民間の考古学研究家によって、群馬県の岩宿遺跡で3万5千年前の磨製石器が日本で初めて発掘されています。それは、世界の考古学の学説をひっくり返すような大発見だったそうです。その後、その前後でたくさんの磨製石器が日本の各地で発掘されているということです。
よって、ざっくり4万年、かなぁと(ざっくりすぎ?)
つまり、そこらへんから、日本列島に住む人々、縄文土器と命名された美しい土器をのちに作る人々、つまり日本人は、 一所懸命、石を磨き始めていたんですね。縄文土器を作り始めるまでにそれから約2万年の年月が流れます。その年月の間には釣り針も発掘されているそうです。
磨製石器を作る、”磨く”時のカラダの使い方を想像してみてください。明らかに”寄りかかり”を使っているはずです。 人類が石器を使い始めた歴史は、もっと古いわけですが、打製石器だと、お猿さんでもそういう類のものを、作るというか使うことがあるそうです。ま、とりあえず、バーンと石を打ち砕いてみたら、あ、これ使える、みたいな感じ?ですかね。
磨製石器となると、こういうものを作りたい、と明確に意図し、自分のカラダを巧みにコントロールして、石を磨き、ある程度の時間をかけて細工していくということになるのかなと思います。そして、その技術と原料となる石は伝搬していった。
ヒトが文化を持った瞬間ではないでしょうか。つまり人間になった。
磨製石器は、どんな石でも作れたかというとそうではなく、黒耀石という、火山から噴き出したマグマがかたまってできた天然のガラスで作られており、限られた産地でしか手に入らない。でも、黒耀石の磨製石器は、黒耀石の産出のない地域でも発掘され、列島全域に及ぶらしい。磨製石器を作る技術とその原料の交易は、当時、日本列島全域に広がっていたんですね。一つのまとまった文化圏、ネットワークが出来上がっていたのでしょう。
おお。磨製石器→磨く→寄りかかり使うよね→磨く技術の伝搬と交易ネットワーク→一つのまとまった文化圏。共通の言葉とおそらく文字もあって全然おかしくない。
これが、日本の始まりで、そして同時に和のカラダの始まりではないか。 と私が興奮したのは言うまでもありません。石は後世に残って発掘されるけど、カラダの使い方は、それを学び伝承した人々のカラダのウチに残り、洗練発展していくにしても、目に見えず、伝えられた人が次の世代に伝えない限り残らないのです。
ゆったりセラピーでいうところの寄りかかりというのは、いわば体重移動のスキルであって、それは、手先の器用さといいますが、手のひらの感覚の繊細さをもたらしてくれるカラダの使い方です。ゆったりセラピーの施術では、寄りかかりの身体感覚を大切にしています。なぜなら、それが”触れることの質”を担保するからです。
繰り返し、このプログでも書いてますが、私たちは、寄りかかれなくなっているのです。この24年間というもの、施術者養成に注力しながら、何に気づいたかというと、この厳然たる事実で、ゆったりセラピーのトレーニングは、寄りかかりを自分のカラダのウチに取り戻していくことから始まります。
4万年来の危機ではないかと、危惧するのはこういうわけなのです。今、「和のカラダ」は危機に瀕しているのです。
祖先が磨製石器を作ったように(暮らしに必要な、あるいは楽しむための、もっといろんなものも作れたはずだよね。石しか残っていないけど)、暮らしの中に手仕事があり、手仕事がボディワークを呼び起こしカラダの使い方が洗練され、それがウチなる世界を豊かにし、同時にソトの世界とつながっていく循環がある。それが日本の庶民の生活だったのではないかと思います。そうした循環が途切れかけていると感じます。この循環は、この日本列島で、4万年、続いていたが、ここ20年30年くらいの間に急速に失われている、と言わざるを得ないのです。
それは、私たちのカラダのロボトミー化が、ますます進行しているという意味でもあります。30年以上にわたる施術の体験からそれを実感しているのです。例えば、ストレートネックといって(俗にスマホ首と言われる)、頸部の自然なアーチが失われている首の方が、本当にこの20年くらいで増えました。最近は3人に一人、20代30代だと2人に一人くらいの感じがします。ストレートネックの方は、肩首の筋肉が緊張した状態のままで、関節間の緩みが極端に少なくなっています。リラックスできない、と感じておられるでしょうし、常に何か、どこか辛い感じがするのではないかなと推測します。
「和のカラダ」を呼び起こすこと。
外から新しく何かを獲得するのではなく、私たちのカラダのウチに眠っているはずの、4万年来のウチなる歴史を呼び起こそう、ゆったりセラピーの活動はそこに至ることではないか、と考えるとちょっと震える感じがするのです。
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エサレン研究所についてや、エサレンボディワークについて、そしてゆったりセラピーについては、できるかぎり分かりやすく網羅的に記述した本を出しているので興味のある方は、ぜひそちらを読んでいただければと思います。
書籍〜世界で愛される癒しのエサレンメソッド〜
心で触れるボディワーク
<鎌田麻莉プロフィール>
エサレン®ボディワーク(全身オイルトリートメント)の日本の草分け的存在。1987年単身米国に渡り、それから5年、ニューヨーク市に住む。その間、気功、太極拳、ヨガ、チベット仏教に出会い、西洋文化の中で東洋の哲学と身体技法を学ぶこととなった。また、台湾人鍼医の日本人顧客向け通訳としてアシスタントを務め、同時に経絡・鍼灸・漢方処方を学ぶ。その後、ナチュラル・ヒーリングを志して、1990年1月にカリフォルニア州エサレン研究所の集中トレーニングを終了、同年認定。ボディワーカーとしてのキャリアをスタートさせた。1992年に帰国し、日本でのエサレンボディワークの実践をスタート。
1999年-2007年、日本で初めてエサレン®ボディワーク資格認定コースを主宰。「エサレン」の名を日本に広めた。2008年より、心で触れるボディワークスクールを開校、自身で教え始める。震災をきっかけとして2011年より、エサレンのアプローチを着衣のままで受けることのできる「ゆったり整体」の研究開発に着手、それまでの施術者としての経験を「ゆったりセラピー」としてまとめあげた。2013年、社)ゆったりセラピー協会を設立し、セラピストの育成とともに認定講師の養成に注力し、エサレンメソッドを日本の風土と文化に見合う形での普及に取り組む。和のカラダを提唱する。
現在、岩手県花巻市在住、温泉サロン・リラクセーション水心及び、町中サロン・ゆったりサロン絆で、ゆったり®️セラピスト続行中。スクールも花巻にある。
ゆったりセラピスト・鎌田麻莉のHP
カラダ・最後の砦を守り抜くために
https://kokorodefureru.com/
地球とつながり、心で触れる
ゆったりセラピーの学校
https://esalenbodywork.jp/
社)ゆったりセラピー協会
https://bodyworkjp.org/
鎌田麻莉の公式メルマガ
エサレンアプローチへの一つの明確な答え
(月3−4回配信)より
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<心で触れるボディワーク無料オンライン講座>
ー毎月一回中継 ー
詳しくはこちらから http://bodyworkjp.org/kokofure-webseminar/
鎌田が行うゆったりセラピーのデモンストレーション
<ゆったりセラピー施術の要オンライン講座>
詳しくは、こちらから http://bodyworkjp.org/kaname-webseminar/
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社)ゆったりセラピー協会の
施術者養成 2つのトレーニング
ゆったりセラピー基礎講座
着衣のままで受けられるエサレンアプローチの全身ケア、ゆったり整体を中心に
基本の施術方法と身体技法を学びます。
全身オイルトリートメント。 エサレンアプローチ独特のロングストロークを中心に
オイルと使った施術方法と身体技法を学びます。
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