感覚遮断がもたらすこと、そしてゆったりセラピーが目指すところ

医療の技術が拷問の道具になってしまう、というのはショッキングなことですが、事実そうしたことは歴史的に起こっています。

ナオミ・クラインの著書「ショック・ドクトリン」には、ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者ミルトン・フリードマンとその一派がどのように、危機に便乗して過激な新自由主義の政策を強引にねじ込み、世界の多くの場所で、国家や国民の資源を略奪してきたか、を丹念に事実を追いながら示しています。

 ショック状態に置かれた人間はいとも簡単に過激な変化を受け入れてしまう。

フリードマンは、このアイデアを社会全体に広げます。激しいショックで社会を麻痺させることで「純粋な資本主義状態」に戻すことができる、と考えたといいます。そして実際に世界の至る所で起こった社会的な危機<災害や政変、暴動、戦争>を”利用”して、通常ならば、到底人々が受け入れることのできないような新自由主義の政策を世界中で実現させてきたことが「ショック・ドクトリン」では詳細に語られます。

このフリードマンのアイデアの元になった「ショック状態に置かれた人間はいとも簡単に過激な変化を受け入れてしまう。」は、どのように導かれたのでしょうか?

1940年代に、医学と精神医学の進歩によって精神障害の治療に新しい技術が導入されました。「電気ショック」です。この治療の技術は、”治療”の枠組みを超えて、感覚遮断を利用した洗脳の実験にも使われていくことになります。

カナダの心理学者で心理学と神経科学を融合した神経心理学のパイオニアの一人、ドナルド・ヘッブ博士は、東西が対立する冷戦の最中、CIAに、感覚遮断を利用した洗脳の秘密実験を依頼されます。視覚、聴覚、触覚を奪われた状態で何日も過ごした治験者たちは、「極度の混乱と幻覚」や「著しい知的能力の低下」を起こし、その後聞かされた録音テープののメッセージに驚くほど受容的になったといいます。それは、あたかも、感覚が奪われたことで彼らの心の一部が消去され、そこに新しいパターンが上書きされたというようなことでした。

ヘッブ博士は、その後、この実験が倫理に反するのではないかと悩み撤退するのですが、同僚であった精神科医のユーイン・キャメロン博士は、「患者の心を暴力的に破壊すること」は倫理に反するどころか、むしろ必要なステップだと割り切って考えており、CIAからのこの極秘実験の研究資金を受け取り研究を続けるのです。「隔離室」への拘禁や大量の薬物投与による感覚遮断、電気ショック、麻薬の投与、その後録音テープを聞かせて「入力」するという恐るべき生体実験が繰り広げられたといいます。

気分が悪くなるような話ですが、こうした拷問実験が秘密裏に行われ、CIAの拷問マニュアルとなり、南米から、アジア、中東と多くの国で使用され、9.11のテロ以降は、アフガニスタンやキューバのグアンタナモ基地収容所、イラクのアブグレイブ刑務所などで、今も使われているのです。

61年まで研究資金を出していたこのCIAの秘密計画は、情報公開法によってアメリカ上院で暴かれ、大スキャンダルになりました。そして、70年代終わりにはキャメロン博士の元患者たちが集団訴訟を起こし、88年にCIAが、92年にカナダ政府が賠償金を支払ったとのことです。

 

”感覚遮断”が拷問と洗脳の手段になるのです。そして、それは精神的な暴力であり、「極度の混乱と幻覚」や「著しい知的能力の低下」を起こす、ということを軽く考えることはできません。またそうした精神的な暴力の手法が、秘密裏に研究され、その成果が、世界的な経済学者の自身の思想や理念、政策の実現に利用され、それに追随する政治家や企業家がおり、今もそれが行われている、ということなのです。

巨大な地震と津波が日本を襲い、史上最悪の原発事故が起こり、私たちは、一種の思考停止状態に陥りました。その隙に何が行われたでしょう? 新型コロナによるパンデミックも社会全体をショック状態に陥れ、その間にそれまで長い時間をかけて培ってきた様々なものが失われたのではないでしょうか。失われた一つ一つに気づいていることは重要なのではないかと思うのです。私たちは何を守っていかなくてはならないのでしょうか。

私たちの日常は、猛スピードで進化し、ますます仮想空間と一体化して行くようですが、その裏で、緩慢な感覚遮断がパターン化しているのではないか。つまり、ショック・ドクトリンの手法は、日常化し、見えにくく、かつ巧妙になっているのではないかと思うのです。

感覚を目覚めさせておくこと、つまり感覚覚醒は、 ゆったりセラピーの目指すところです。もし、感覚遮断が日常的にパターン化しているとすれば、それに対する、最も根源的な処方は触れること触れられること、なのです。

季節の移り変わりを肌で感じ、味わい、 つながること。大切に触れること。
日本の風土はそれを助けてくれるなぁと心から思うのでした。

 

 


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エサレン研究所についてや、エサレンボディワークについて、そしてゆったりセラピーについては、できるかぎり分かりやすく網羅的に記述した本を出しているので興味のある方は、ぜひそちらを読んでいただければと思います。

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<鎌田麻莉プロフィール>
エサレン®ボディワーク(全身オイルトリートメント)の日本の草分け的存在。1987年単身米国に渡り、それから5年、ニューヨーク市に住む。その間、気功、太極拳、ヨガ、チベット仏教に出会い、西洋文化の中で東洋の哲学と身体技法を学ぶこととなった。また、台湾人鍼医の日本人顧客向け通訳としてアシスタントを務め、同時に経絡・鍼灸・漢方処方を学ぶ。その後、ナチュラル・ヒーリングを志して、1990年1月にカリフォルニア州エサレン研究所の集中トレーニングを終了、同年認定。ボディワーカーとしてのキャリアをスタートさせた。1992年に帰国し、日本でのエサレンボディワークの実践をスタート。 1999年-2007年、日本で初めてエサレン®ボディワーク資格認定コースを主宰。「エサレン」の名を日本に広めた。2008年より、心で触れるボディワークスクールを開校、自身で教え始める。震災をきっかけとして2011年より、エサレンのアプローチを着衣のままで受けることのできる「ゆったり整体」の研究開発に着手、それまでの施術者としての経験を「ゆったりセラピー」としてまとめあげた。2013年、社)ゆったりセラピー協会を設立し、セラピストの育成とともに認定講師の養成に注力し、エサレンメソッドを日本の風土と文化に見合う形での普及に取り組む。和のカラダを提唱する。 現在、岩手県花巻市在住、温泉サロン・リラクセーション水心及び、町中サロン・ゆったりサロン絆で、ゆったり®️セラピスト続行中。スクールも花巻にある。

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