呼吸筋としても働く前鋸筋

前鋸筋が十全に働いて、”寄りかかり”がしっかりできるには、
僧帽筋が緩んでいることが条件になるよね、
そして、前鋸筋は体幹の筋連動(筋連結)のトリガーとしても働く、
というお話を前回していました。

そして、ゆったりセラピーでいうところの「寄りかかり」は、前鋸筋が働いていないと実は、「寄りかかり」にはなっていないよ、ということでした。つまり寄りかかっているつもり、が起こるんですね。これは、受け手になると、明確に感じることができます。寄りかかりの気持ちよさ、深くまで届く感じを、前鋸筋を使っていない寄りかかったつもり、では味わうことができないのです。


 

もう一点、前鋸筋の働きについて押さえておきたいことがあります。

前鋸筋が働いていない状態では、呼吸の容量が小さくなると考えられます。呼吸の容量が小さくなる、ということはどういうことかというと、酸素の供給量が落ちる、ということなんですね。これは、全身の代謝レベルが落ちるこということなんです。

施術をしていて気づくことは多いのですが、背面全般の緊張が常態化していて、呼吸による背中の上下動の動きがほとんど感じられない、という方は多いのです。そういう方は、わずかに腰部のあたりの動きは感じられるけれど、背面上部、肩甲骨あたりの動きがほとんど感じられないという感じですね。そういう方の前鋸筋はおそらく働いていないと思われます。

働いていない筋肉というのは、おおよそ、かたく、やせています。逆に適度に働いている筋肉は、柔らかく弾力があるので、すぐにわかります。身体の筋肉を柔らかく弾力がある状態に保っておく、ということが一つ身体的ケアの重要ポイントではないかと思います。ゆったりセラピーの様々な手技は、オイル(心で触れるボディワーク)、着衣(ゆったりセラピー)双方とも概ねここに貢献しているという自覚が私にはあります。

さて、呼吸について少し復習しておきましょう。
呼吸を行なっている器官は、肺である、ということは学校の生物の時間に習ったと思うのですが、実はそれだけでは呼吸を理解したことにはならないのですよね。肺が自らポンプ機能を駆使して空気を吸い吐きしているのではありません。胸腔(きょうくう)全体の動きが、呼吸であり、胸郭を動かす筋肉群が、そしてそれらに連動して働く筋肉群が全部、呼吸に関わります。そういう意味では上半身の筋肉は概ね全部、呼吸運動に関わっているといっていいのですが、まずは、呼吸に直接関わっている筋肉としては、横隔膜がありました。

 

*横隔膜の断面図 画像は、ウキペディアからお借りしました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E9%9A%94%E8%86%9C

それと、肋骨を動かす筋肉群が直接的に呼吸運動の担い手なのでした。最深部としては肋間筋があります。この肋間筋と横隔膜の運動によって、胸腔(きょうくう)の容積を大きくしたりり小さくしたりることで胸腔内の気圧の変化を起こし、呼吸が生じるのです。そして、上半身の筋肉群というのは、すべてこれらの呼吸筋を補佐するような動きをすると考えて間違い無いと思います。


画像はこちらからお借りしました。
https://muscle-guide.info/external_internul_intercostal.html

 

前鋸筋は肋骨と肩甲骨に付着しているのでした。肋骨に付着しているということは、肋骨を動かす筋肉でもあるわけです。前鋸筋は、肋骨を上部にも持ち上げるように働いて胸郭の容積を増大させるように働きます。つまり呼吸の容量を大きくするように働くのです。

 

画像はウキぺディアからお借りしました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E9%8B%B8%E7%AD%8B

前鋸筋が働いていないということは、寄りかかりがうまくできない、というだけではなくて、実は肋骨の動きを制限し呼吸の容量全体を小さくしているのであって、そのことによって全身の代謝が落ちている、ということを意味するのです。

私は、現代人が悩まされている鬱症状というものは、こうした呼吸障害(障害とは認識されていないレベルだとは思いますが)、上半身の常態化した筋緊張が引きこす、呼吸機能の低下、酸素の供給レベルの低下が大きく関わるのではないかと考えています。抗うつ剤などの薬物療法に頼る前にこうした、本来の呼吸の容量を取り戻すようなアプローチを行なって酸素の供給量を本来のレベルに戻す、という行為が本質的には必要なのではないかと考えています。

 施術者にとっては、自分が行う”触れ方”の意味するところ、意図をより深く認識して行う、ということは重要なのではないでしょうか。

そして、リラックス、の意味ですよね。筋肉の緊張が解放されるということは、呼吸による酸素の供給量が本来のレベルに戻る、ということでもあるのです。

 

呼吸が十全に働くとき、私たちのカラダの可能性、意識の可能性は、どのように広がっていくのでしょうか。

 

 

エサレン研究所についてや、エサレンボディワークについて、そしてゆったりセラピーについては、できるかぎり分かりやすく網羅的に記述した本を出しているので興味のある方は、ぜひそちらを読んでいただければと思います。

書籍〜世界で愛される癒しのエサレンメソッド〜
心で触れるボディワーク 

 

<鎌田麻莉プロフィール>
エサレン®ボディワーク(全身オイルトリートメント)の日本の草分け的存在。1987年単身米国に渡り、それから5年、ニューヨーク市に住む。その間、気功、太極拳、ヨガ、チベット仏教に出会い、西洋文化の中で東洋の哲学と身体技法を学ぶこととなった。また、台湾人鍼医の日本人顧客向け通訳としてアシスタントを務め、同時に経絡・鍼灸・漢方処方を学ぶ。その後、ナチュラル・ヒーリングを志して、1990年1月にカリフォルニア州エサレン研究所の集中トレーニングを終了、同年認定。ボディワーカーとしてのキャリアをスタートさせた。1992年に帰国し、日本でのエサレンボディワークの実践をスタート。 1999年-2007年、日本で初めてエサレン®ボディワーク資格認定コースを主宰。「エサレン」の名を日本に広めた。2008年より、心で触れるボディワークスクールを開校、自身で教え始める。震災をきっかけとして2011年より、エサレンのアプローチを着衣のままで受けることのできる「ゆったり整体」の研究開発に着手、それまでの施術者としての経験を「ゆったりセラピー」としてまとめあげた。2013年、社)ゆったりセラピー協会を設立し、セラピストの育成とともに認定講師の養成に注力し、エサレンメソッドを日本の風土と文化に見合う形での普及に取り組む。和のカラダを提唱する。 現在、岩手県花巻市在住、温泉サロン・リラクセーション水心及び、町中サロン・ゆったりサロン絆で、ゆったり®️セラピスト続行中。スクールも花巻にある。

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